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【この春、ウィーン響と日本ツアー決定!】角野隼斗 インタビュー

©Dario Acosta | ペトル・ポペルカ指揮 ウィーン交響楽団 広島公演 | 財団主催公演 | 呉信用金庫ホール(呉市文化ホール)公益財団法人呉市文化振興財団

©Dario Acosta

5月から6月にかけ、ウィーン交響楽団が新しく迎えた話題の首席指揮者ペトル・ポペルカとともに来日します!伝統を守りながらも、レパートリーやコンサート形態に常に新しさを取り入れる“未来志向型オーケストラ"ともいわれるウィーン交響楽団がこのツアーで共演するソリストは、音楽界で縦横無尽に活躍の幅を広げるスターピアニスト 角野隼斗。日本ツアーに先駆け、特別インタビューを実施しました!

取材・文:原典子(音楽ジャーナリスト)


 彗星の如く現れた才能――登場からわずか数年でクラシック界の中枢へと駆け上っていったという点において、ペトル・ポペルカと角野隼斗は共通していると言えるだろう。
 コントラバス奏者から転身し、2019/2020年シーズンに指揮者としてのキャリアをスタートしたポペルカは、一流オーケストラと次々共演を果たし、2024/25年シーズンよりウィーン交響楽団の首席指揮者に就任。かたや角野は、2018年にピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリを受賞。そこからの破竹の勢いの活躍ぶりは皆さんもご存じのとおりである。
 今、世界から熱い注目を浴びるふたりの共演が実現するウィーン交響楽団の日本ツアーに向けて、角野に話を聞いた。

◆角野隼斗とウィーン

 「これだけ立て続けに、自分の人生のターニングポイントと言えるような公演があったのはなんとも刺激的で、やり切ったという感覚が強いです。Kアリーナ公演は自分のなかでもワクワクする要素がたくさんあって、ピアノの演奏と映像をリンクするとか、プリペアド・ピアノを使うとか、そういった試みを“アリーナでクラシック・コンサートをやる"というコンセプトのなかで作り上げることができた達成感はすごくありますね」


今回のウィーン交響楽団とのツアーでは、日本公演に先駆けて、彼らの本拠地であるウィーン・コンツェルトハウスの大ホールでコンサートが予定されている。インタビューの翌月(2025年12月)には、同じコンツェルトハウスのモーツァルトホールでのリサイタルも控えていた角野にとって、音楽の都ウィーンはどのような街なのだろう。


「ウィーンは道が広くて、どこに行っても街並みが美しいですね。オットー・ワーグナーなど、20世紀初頭のアール・ヌーヴォーを感じさせる建築が好きです。学生時代にはじめてウィーンを観光で訪れたときは、楽友協会(ムジークフェライン)でウィーン・フィルを聴いて、ステージが見えないような2階の端の席にもかかわらず、雷に打たれたような衝撃を受けました。やっぱりオーケストラが本拠としているホールで聴くのは格別だと思います。コンツェルトハウスでは、2023年にフランチェスコ・トリスターノとの共演で無声映画に音楽を即興的につけるというコンセプトのコンサートをしましたが、リサイタルという意味では、12月のモーツァルトホールが初めてになります」


 ウィーンといえば、2024年のウィーン放送交響楽団(マリン・オルソップ指揮)との日本ツアーも忘れ難い。


「ウィーン放送交響楽団とはウィーンでの共演はありませんでしたが、モーツァルトのピアノ協奏曲第26番『戴冠式』では、イントロから“これがウィーンのモーツァルトなのか!"と思えるような音楽を体験することができました。コンサートミストレスに“ここはどう弾いているの?"と尋ねられ、話をするなかで、アクセントの置き方やフレージングといった音楽のイントネーションに、彼らが独自のこだわりを持っていることも伝わってきました。きっと僕がなんとなく弾いていて、彼らのイントネーションと合わない部分があったのでしょうね。“ああ、なるほど"と気づかされた瞬間でした」
ペトル・ポペルカ指揮 ウィーン交響楽団 広島公演 | 財団主催公演 | 呉信用金庫ホール(呉市文化ホール)公益財団法人呉市文化振興財団

◆ラヴェルのピアノ協奏曲は自分の色を活かせる作品

角野がウィーン交響楽団とのツアーで共演するのは、ラヴェルのピアノ協奏曲。ちなみにこのオーケストラは、ラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」を初演した歴史をもつ。


「今回はドイツもの以外でいきたいなと考え、こちらからいくつか候補を出した曲の中からラヴェルのピアノ協奏曲に決まりました。この曲をはじめて演奏したのは2022年です。ジャズの影響が要所要所に出てくるので、弾いていてとても楽しく、自然に自分の色が活かせるような作品だなと思います。3つの楽章それぞれに特色があって全部好きですが、とくに第2楽章は世の緩徐楽章史上のなかでもトップ部類に入りますよね。第3楽章のストライド奏法のところも弾いていてエキサイトします」

たくさんの録音が世に出ている名曲だが、角野のお気に入りは?
 「やっぱりマルタ・アルゲリッチですね。あと、ハービー・ハンコックが第2楽章を弾いている録音も大好きです。ピアノのパッセージがだんだん速くなって、気づいたらそこから抜け出して違うところに行っていて、ハービーのアドリブが始まるわけですが、これがすごく美しいんですよ」

「角野さんもアドリブを入れたりしますか?」との問いには、「そのつもりはありませんけれど、なにかアイデアを思いついたら、もしかしたらあるかもしれませんね」との答えが返ってきた。



 ここ数年、海外のオーケストラとの共演がますます増えている角野だが、日本のオーケストラとの違いについては、以下のように語ってくれた。

「たとえばガーシュウィンの『ラプソディ・イン・ブルー』などはわかりやすいですが、海外のオーケストラはメンバーそれぞれが思い思いに弾いていて、自由度の高さを感じます。日本のオーケストラと演奏するときの“だいたいこのリズムで、このテンポで演奏する"といった共通認識が、海外のオーケストラだと全然違ったりすることもあって、新しい発見の日々です」



 最後に、コンサートを楽しみにしている方々にメッセージを。

「ポペルカさんとは初共演になりますが、いろいろなところで評判を聞いているのでとても楽しみです。大好きな作品を、素晴らしいオーケストラとマエストロと一緒に演奏できることを嬉しく思います。会場でお待ちしております!」






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